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石上純也 木陰雲

歴史ある風景に溶け込むように、新しいけれど、もともとそこにあったような建築がつくれないかと考えました。 (石上純也)

木陰雲/設計:石上純也〈本プロジェクト案〉

解説

「九段下に昭和2年、実業家の山口萬吉によって建てられた古い邸宅がある。設計には東京タワーの構造計画をおこなった内藤多仲も関わっている。この邸宅の美しく古い庭に2021の夏期限定で、日差しを柔らかく遮る日除けを計画する。
新しく計画される日除けが、歴史ある風景に溶け込むように、新築であるにも関わらず、はじめから古さを含み持つようにと考えた。具体的には、木造の柱と屋根を庭いっぱいに計画し、その構造体を焼き杉の技術を用いて焼いていく。様々に火力を調整しながら、杉の表面を炭化させ、場所によっては構造体そのものを焼き切る。庭に広がる木の構造体が、既存の庭に生い茂る老木を避けるように、焼かれながらしなやかに形状が整えられていく。炎で炭化した真っ黒の構造体は、廃墟のような趣もある。新築から廃墟の状態に、瞬時に駆け抜け変化したようでもあり、建築が経年によって得られる移り変わりを一気に獲得したかのようだ。
昭和初期の時代にはまだ存在していなかった周りの高層建築を黒い構造体が覆い隠し、構造体に開けられた無数の穴からの無数の光の粒が、樹木からの木漏れ日と混ざり合う。樹木の間から覗く現代の風景は消え去り、夏の強い日差しは和らぎ、訪れる人々はこの庭のなかに流れる古い時間とともに過ごす。真っ黒の構造体は、夏の午後に老木の間を漂う涼し気な影である。」(石上純也)

協賛:東邦レオ株式会社/Cartier/株式会社 中川ケミカル/北京益汇达清水建筑工程有限公司/袁鑫工程顾问(上海)事务所/重庆纬图景观设计有限公司/株式会社ユニオン/株式会社 資生堂/大成建設株式会社
素材協力:株式会社門脇木材/株式会社 山大/大光電機株式会社/株式会社サンゲツ

鑑賞時間・アクセス

会場: kudan house 庭園
東京都千代田区九段北1-15-9
鑑賞時間:10:00〜18:00
休館日:7/5、7/12、7/13、7/14、7/19、7/22〜27、8/2、8/10、8/16、8/23、8/30
*入場制限を行う場合があり、ご入場をお待ちいただく可能性がございます。 事前予約が必要となる場合もあります。
アクセス:
・東京メトロ東西線・半蔵門線、都営地下鉄新宿線「九段下駅」1出口より 徒歩5分
・東京メトロ東西線・有楽町線・南北線、都営大江戸線「飯田橋駅」A5出口より徒歩9分
・JR中央・総武線「飯田橋駅」西口より徒歩7分

*専用の駐車場はございません。近隣の駐車場は限られておりますので、お車でのご来場は控えていただけますようお願いいたします。

その他注意事項:
・入場制限を行う場合があり、ご入場をお待ちいただく可能性がございます。
・今後、事前予約が必要となる場合もあります。
・入場をお待ちいただく場合、歩行者、近隣の方へのご迷惑となりますので、会場周辺の歩道などで待機する行為はお止めください。
・踏圧により苔や下草が傷つかないよう、庭園を歩く際は必ず石畳の上を歩いてください。また、地面を這う灌水ホースは故障の原因になりますので踏まないようにご注意ください。
・庭園内の樹木の枝葉は大変傷つきやすいため、強く枝を掴んだり、持ち物が樹木に当たらないようご注意ください。

設計:石上純也

1974年生。東京藝術大学大学院美術研究科建築専攻修士課程修了。妹島和世建築設計事務所を経て、2004年石上純也建築設計事務所を設立。東京理科大学非常勤講師、東北大学大学院特任准教授、2014年よりハーバード大学大学院客員教授を歴任。主な作品に〈神奈川工科大学KAIT工房〉、「アート・ビオトープ那須」の〈水庭〉、〈サーペンタイン・パビリオン2019〉など。日本建築学会賞、第12回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展金獅子賞など受賞多数。2018年、パリのカルティエ現代美術財団で大規模個展「石上純也 自由な建築」展を開催。